その他内蔵疾患(心臓など)
①心臓疾患
症状:「少し運動をした後や、夜寝る前に動悸を感じます」
原因:過労や精神的疲労
ふとした時や就寝前に感じる動悸には、慢性心不全や狭心症などの心疾患によって起こる場合もありますが、それらは病院での検査により診断されます。 そうした疾患が見当たらない場合は、寝不足や過労による疲労や、不安による精神的疲労が原因であることが多く、当院では、鍼灸の持つ安寧作用により自律神経の安定を促します。 多くの場合、過労や不安を感じるのは、日常生活に原因があることがほとんどですので、鍼灸治療は現在の症状の鎮静・安静化を目的として活用してください。鍼灸治療を行いながら、本来の原因の見極め、治療することをお勧めします。 また、落ち着くことができず思考がまとまらないため、動悸が起き夜も眠れないという方は、全身治療に加え、頭部への施術により自律神経を調整し、思考をまとめやすくします。
症状:「手足など末端の方が冷えています」
原因:動脈硬化
動脈硬化のみでは大きな症状は出てきません。しかし、他の疾患と合併すると、大きな疾患に発展する場合があります。 動脈硬化のわかりやすい初期症状として、冷えがあります。血管の内側にコレステロールや細胞が溜まり血管の内側が狭くなることで、血の流れが通常より悪くなり、冷えを感じることがあります。 当院では、冷えを感じる部分を中心にお灸による温熱治療を行います。また、患部よりも体の側面を鍼治療することで血液の循環を改善します。さらに代謝を良くする経穴に施術することで、代謝機能を向上させます。 高血圧・高脂血症の症状がある場合は、別項で解説しているようなそれらの改善をメインとした治療を行います。
症状:「血圧が高い(または低い)」
原因:高血圧、または低血圧
高血圧はストレス・喫煙・運動不足・肥満など、原因は多岐にわたります。軽度の場合、自覚症状はなく、強度になると狭心症や心筋梗塞などの疾患に発展する場合があります。医療機関では、投薬治療・食事改善などにより改善を図ります。 近年では、鍼灸治療により血管負荷を軽減することで、高血圧の症状を改善できるという研究結果も出ています。 また、低血圧は重篤な症状はなく、一過性のめまいやふらつきが起こることがあります。 当院では、高血圧・低血圧ともに治療の内容は、血液循環の改善と血管負荷の軽減、血管収縮を支配している自律神経の興奮を抑制する治療を行います。
症状:「最近疲れやすい、動悸や息切れがする」
原因:慢性心不全
心不全とは、心機能の低下により様々な症状が起きた身体の状態です。 心臓の機能は、全身を循環してきた血液を[受け取る機能]と、血液を肺へ[送りだす機能]があります。主に機能が低下した場合は、[送り出す機能]の低下が認められます。 また、十分に送り出せないために、血液が肺側で滞ることがあり、その結果疲れやすくなったり、だるくなったり、動悸を感じたり、息切れが生じたりします。また、全身で血液の滞りが生じた場合は、手足に浮腫みが生じることがあります。 当院では、心機能を向上させるツボを刺激するとともに、浮腫みのある部位の筋肉を動かすことで、血液循環を正常に戻しながら、様々な症状を改善させます。主な治療内容は鍼通電治療になりますが、長期間のだるさなどにより、広範囲に筋肉の緊張がある場合には、お灸を使って心地よい治療も加えます。
①呼吸器疾患
症状:「咳と痰がでて、喉が痛いです」
原因:気管支炎
細菌やウイルスによる感染症がほとんどです。熱が引いても尚出続けるものを「急性気管支炎」といい、それが数週間~数か月に長引くものを「慢性気管支炎」と言います。
当院では、熱残っている場合は、免疫力向上の治療と解熱のツボに施術を行います。そのとき気管支を刺激しないように上向きではお灸治療はしません。うつむけの際にお灸も行います。また長期間の咳により硬くなった喉の筋肉を鍼治療により緩めていきます。これにより症状と同時にお身体の状態もケアさせていただく治療をいたします。
症状:「咳と痰が止まらず夜も寝られません」
原因:喘息
喘息持ちと申告される方もおられるほど喘息という疾患は身近なものです。通常ならなんともない刺激(気温差やたばこ、ほこりなど)でも止まらない咳や痰がでます。 当院では、刺激に対する体質改善のツボに施術することを中心として、喉や胸の呼吸筋の緊張を徹智的にほぐすことにより、症状の改善を図ります。この際、鼻や口の近くでお灸治療を行うと、治療中に発症する場合がありますので、十分に気を付けた状態で治療を行います。また体質改善の鍼灸治療は一朝一夕とはいきませんので、定期的に無理の無いようなペースで受診することをお勧めします。お薬同様、即効性の効果があった場合にも急に施術をやめられますとぶり返す恐れがありますのでご注意ください。
症状:「少しの運動で息切れが生じます」
原因:息切れ
息切れは単体では起こりにくいです。背景に呼吸器疾患もしくは心疾患が隠れている場合が非常に多い症状です。ですので、医療機関による検査をお勧めします。また、特に異常がなく息切れを呈しやすい場合は、呼吸の「呼」が十分にできていないことが挙げられます。ヒトは呼に応じて吸を行いますので、吸のみ頑張っても呼吸の乱れ(息切れ)は改善されません。 当院では、呼吸の呼をしやすくなるように胸部・背部・腹部を中心に施術を行い、その他補填として手足の施術を行います。これの治療は刺激強度が比較的弱いもので心地よいものを行います。また、施術後には、ご家庭でセルフケアとして行っていただけるよう呼吸の方法をお伝えします。
症状:「呼吸がしにくく、疲れやすい、咳が止まらず病院では間質性肺炎と診断されました」
原因:間質性肺炎
間質性肺炎は肺胞の間にある間質に炎症が起き固まってしまうために、肺の膨らんだり縮んだりする機能が阻害される疾患です。喫煙者の方に多く見られます。進行すると肺の組織が不全を起こし、どんどんと呼吸ができなくなってしまいます。 当院では、肺機能向上の経穴を中心として、呼吸をしやすくなる経穴を治療、また喉・胸部・腹部を治療することで、肺活量の獲得を狙い疲れやすさなどの症状を緩和します。西洋のお薬と併用することを当院ではお勧めしています。これにより、身体機能の回復を促し、進行を抑制します。抑制できれば、日常生活も苦しむことなく過ごしていただけますので、治療目標を達成した後も定期的に受診して身体をケアすることをお勧めしています。
症状:「咳や痰が止まらず、疲れやすくなり、呼吸がしづらいです。また、病院で肺気腫があると言われました。」
原因:COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPDになると肺の中にある気管支に炎症が起き、内腔が狭くなることで肺活量が低下し、酸素の取り込みと二酸化炭素の排出機能が低下した状態をいいます。また、肺気腫(ビール樽状肺)とは、肺胞の活動が低下することで呼吸がしにくくなり、それでも呼吸をするために胸部をふんだんに使った呼吸法となることで鳩胸の様になることです。これらにより身体機能の低下、酸欠状態などが起こります。 当院では呼吸筋を施術し、緊張を緩和することでまずは酸素の摂取をしやすくさせます。これにより疲労感やだるさを取り除き、また咳や痰の抑制に効果的な経穴を施術することで各症状を鎮静化させることを目的にします。肺胞は障害されると回復することはなく、病気とどのように付き合っていくかという話になりますので、在宅酸素療法などを取り入れなくて済むように早めの治療開始をお勧めします。また、ご自宅でできる口すぼめ呼吸などの呼吸器リハビリテーションをお伝えしますので、これによるセルフケアも取り入れていただくようお勧めします。